永遠の仔 レビュー
「永遠の仔」
●久坂優希(中谷美紀)
●長瀬笙一郎(渡部篤郎)
●有沢梁平(椎名桔平)
●早川奈緒子(石田ゆり子)
●久坂聡志[優希の弟]
●久坂志穂[優希の母親]
●久坂雄作[優希の父親]
●長瀬まり子[長瀬の母親]
▼「事件にならない所により救いがあるのかもしれない」
このドラマの核になっているだろう、言葉で書いてしまうとあっさりしすぎている・・・トラウマ。
人間は、名前を与えることでその抽象的な事柄を支配したと言われるが、このトラウマという事柄は、まだまだ分かったようで分からない。
特にこのドラマが扱うだろうトラウマの種類は、心の成長期に刻まれただけあって、もしかすると一生どうしようもない心の基礎の穴なのかも。
冒頭シーンで、思春期時代の彼らは「救い」やら「しなくてはならない」とかひどく強迫観念にとらわれ、殺人まで犯す光景は、ひどく悲しい。私が親にこんな事をされるのは、きっと私が悪いからと感じ、その事に耐えられなくなって抽象的な何かにすがろうとする心意気は、今の宗教のなんたらに似ているような気がする。
この作品は、きちんと原作があって、ミステリーと分類されている事をみると、殺人などの事件が起きるらしいが、本当に考えるべき怖さは、そんな事件という外界の結果よりは、たぶん優希を取り巻く久坂家のベールにつつまれたようなじっとりとした関係の繰り返しなんだと思う。そんな息苦しい繰り返しの中で、自分をしっかり確立し直すのはひどく辛いんだろうなぁと思う。(その立ち…