美しい人 その2「その後。圭子とみゆきの会話」


●岬先生(田村正和)
●みゆき(常磐貴子)
●次郎(大沢たかお)
●岬圭子(内山理名)
●純(池脇千鶴)
●朝美(森下愛子)



「ママ。後で話があるの。」
朝食をとり終えた圭子はみゆきに向かってママと呼ぶのにも少し慣れた様子だ。
圭子の前には食後のティーを嗜む岬が座っている。そして後ろにはハーブ達が朝日を浴びて、勢いよく呼吸をしている。
「なあに、・・・圭・・子。」
みゆきはまだ圭子の呼び名に少し戸惑っている。
岬は飲み終えたティーカップをキッチンにいるみゆきに手渡すとダイニングを出ていく。
「祥子。少し散歩にいってくるよ。」
あの頃よりは少し言葉少なくなったが彼は今に、過去に、うまくとけ込んでいる。
圭子はその岬の後ろ姿を寂しげな表情で見送る。そして、食器を運んで、みゆきにも・・・ううん微笑みを送る。
「話ってなあに?」
みゆきは圭子から食器を受け取り、微笑みをかえす。圭子はその視線をそらして、後ろ向きに話を続ける。そして、カウンターの上の水槽をのぞく。
「これね。純にもらったの。次郎さんに渡そうと思ったんだけど、ダメだったんだって。」
そこには、赤い金魚が泳いで、ギラギラとうろこが光っている。
「この金魚ね。この金魚もね、水草から酸素をもらっているんだよね。・・パパとパパがああなる前に話したの、・・植物は水とお日様が必要だって。それは愛と環境だって。」

「愛は生きてるのよ。・・先生はそれを教えてくれたの。」

「みゆきさん。・・みゆきさんは今のままでいいの?」
圭子はみゆきの方を振り返り、心配そうにしかし微笑み混じりに聞く。ぼんやりとした予期される返答が、圭子をみゆきの方に振りかえさせる勇気をくれたのもしれない。
「私はその水草のように頑張るつもり。先生はいろんなものをくれたもの。」
「恩返しな・・の・・?。」
「・・いいえ恩返しという後ろめたいものではない、もっと自然なものよ。何も考えてないの。ただそこにいてくれるから息を吐き出す感じ・・(フー)・・・かしら」
みゆきは、そう言いながら口をとがらせてフーっと圭子の額に向かって息を吐き出す。前髪がフワリと宙に浮かぶ。
ふははっ頬をあげてみゆきは笑う。圭子もくすぐったがって笑う。そして、水槽に近づき、金魚をみつめる。
「この金魚は先生ね。」
口をつむいで閉じパッと開いて、金魚のまねをして圭子を見てふたりでまた微笑む。
「あっだめだめ。ママはもっとおしとやかよ。」
「そうでした。(^^)」

・・・・・・。

私は彼の心の湖に身を投じたの。そしてきっと湖底に根を張って生きて行くつもり。
少し苦しいけどこの浮力も心地いいの。





▲最終回しばらく経ってからを想定して書きました。





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